評価バイアス

メンタル改善

評価バイアスとは

一度、ある物事に評価をくだすと、それに反する証拠が見えなくなることです。

たった一言が認識を変える

教師の紹介文を「とても温かい人物」であると書かれているものと、「少し冷たい人物」であると書かれているものに分けます。それ以外の内容は全く同じです。その後、これら2種類の紹介文を半数ずつ学生に配ります(一人の学生に、どちらか1枚の紹介文)が、学生には同じ紹介文を読んでいると思わせ、授業を受けさせるという実験がありました。(ディスカッションの授業)

結果:教師が「とても温かい人物」であると書かれた紹介文を読んだほとんどの学生は、「温厚、思いやりがある、気さく、社交的、人好きがする、ユーモアがある、やさしい」と教師を評価しましたが、「少し冷たい人物」であると書かれた紹介文を読んだ学生のほどんどは「自己中心的、堅苦しい、無愛想、人好きがしない、短気、ユーモアがない、冷酷」と教師を評価しました。

たった一文(一言)でも、他人に対する認識ががらりと変わってしまうのですね。

ある人に関する事前の簡単な説明によってでさえ、それがその人の人物像を作りあげてしまいます。誰かとの関係が始まる前から、すでに気まずくなっている可能性があるということです。

ドラフト順位が低いと、その後も低い評価を受けてしまうNBA選手

ドラフトでNBAに入団した271名の5年間の選手データがあります。その結果、ドラフト順が遅かったNBA選手は、彼がいくら努力しプレーしようと、常に標準以下と評価されるということが分析でわかっています。

また、上記の教師が、一度冷たいと評価されれば、その人の性格や指導技術とは関係なく、学生からは好かれなくなってしまうでしょう。

この評価バイアスの恐ろしいところは、最初の評価と反するデータがあったとしても、そのデータを歪めて見させたり、無視させたりするところです。

美人が写った広告でローンの申込み率が上がった

美女が笑顔になっている写真がついた手紙(中身はローン申し込みの広告)を配られた男性は、笑顔の男性の写真がついた手紙を配られた男性よりも、ローンを申し込む確立が高かったという研究があります。その効果は、ローンの利率を4.5%下げる特典と同じくらいの効果があったそうです。

的はずれな要素を重く見て(美人の笑顔)、そちらに信頼を置きすぎてしまうのです。美人の笑顔でローンを申し込むなんて、まったく非合理的ですが、実際にそうなってしまうようです。

こうしたバイアスに引っかかりがちな人間ですが、人間は自分の評価能力を過信しがちでもあります。

評価バイアスに引っかからないために

できるだけ、客観的なデータに集中することによって、このバイアスの影響を受けにくくできます。

そもそも、客観的なデータがない場合もあるでしょう。そんなときは、人や状況を、いろいろな角度から考えるようにしておくことです。

第一印象や事前の情報での判断に依存しすぎると、詳しい評価をするときの障害になってしまいます。そのため、まずは、評価を確定させず、常に暫定的なものであると考えてみます。次に、複雑な情報や、ときに矛盾するような情報も積極的に受け入れることです。最後に、結論を出す前に、じっくりと異なる角度から考えてみましょう。

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